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『アリシア・エドワールは夢を見る』第六話 前編
作:緑野仁 「メリー! ……メリー!」 「はいぃ、何でしょうかお嬢様!」 「ふむ、今日は9秒8ね。記録更新よ、メリー」 「ありがとうございます……じゃないですよ! 何ですかその記録!?」 「そんなことよりメリー、」 「どんなことですか一体」 「そろそろこの部屋で過ごすのも飽きてきたわ。他の国に遊びに行くわよ」 「え? ……えぇ!?」 「何よいきなり」 「いえ、だってお嬢様が移動したいと言うなんて……」 「失礼ね、私だってたまには外に出たくなるわよ」 「そ、そうですか……で、何処に行くので?」 「そうね……東の国に行きましょう。今はちょうど祭りの時期だし」 「祭りですか? それは知りませんでした」 「ええ、あの国では毎年作物の豊作を祝って祭りを行うのよ。あそこは気候がいいから大体豊作だし」 「……えらく博識ですね、お嬢様」 「あそこの果物は絶品なのよ。特にデザートに使う黄色い果物がほっぺたが落ちるほど美味しいの」 「ああ、なるほどですお嬢様。その頭脳を他に回していただければ……」 「失礼ね」 「ですが、結構遠いようですけどいいのですか? あそこらへんは盗賊も出るし物騒ですけど」 「心配ないわ、私には優秀な護衛が付いているから」 「それは心強いですね。なら安心ですが」 「何言ってるの、あなたよ」 「……え?」 「あなたに決まってるじゃないの。強いんでしょ?」 「いや、あの……ちょっとどころかかなり荷が重いんですけど……」 「ちゃんと護衛してくれるわよね、ランスエロットの忠実な騎士よ」 「……わ、わかりました。では腕利きを何人か手配して一緒に……」 「あら、何を言ってるの? あなた一人で十分じゃない」 「え? ……えーと、お嬢様?」 「あんな堅い男たちを連れて何が楽しいのよ」 「いや、もはやそういう問題じゃないですから」 「あら、旅は楽しまなくちゃ」 「命落としたら意味ないですから! 普通、王家が移動するなら隊が一個ぐらい動くもんですよ!」 「あら、そんなに文句があるならお給料減らすわよ?」 「にぎゅっ……! だ、だったらせめてリディアさまも連れて行きませんか!?」 「あら、リディアも?」 「はい、あの方は正直私より強いですし」 「それは知らなかったわ……でもダメよ」 「な、何でですか?」 「リディアに言ったら、絶対反対されるに決まってるもの」 「……」 「というわけで、支度をしなさい」 「……! 待ってください、一人いい人材がいました!」 「あらそう?」 「急いで連れてきますから、お嬢様は先に門にいてください!」 「いいわよ、早くしなさいね」 「……で? こいつなの?」 「はい、そうです」 「お呼びいただき光栄です、アリシア様! この私っ! 命尽きようともっ! あなた様にっ!」 「ああ、わかったわ。……わかったけどさー、」 「こんにちは、お姉様」 「何であんたがここにいるのよー」 「えーとですね、まずオズに伝えにいったんですけど……」 「ケイトよ。どれだけ間違えてるのよ」 「聞いた途端にケイトが興奮しだして、あやしがったエレノア様がケイトに聞いて……」 「で、付いていくことにしたのよ」 「どうしてそうなるのよ」 「だって、そんな美味しそ……面白そうな祭りがあるなんてほっとけないじゃない」 「それはそうだけど……まあいいわ。そろそろ行きましょうか」 「そうですね、日が暮れる前に着けるといいのですが」 「大丈夫です! たとえ日が沈もうとも、このケイトがあなた様の毛布となりましょう!」 「それはすごいわね」 「ああ、でもそんな事をしたらお嬢様と私の肌が密接することにっ! ダメよケイト、それは許されないわっ!」 「……人選間違えてない?」 「そんな予感がしてきました……」 「そんなことより、とっとと行きましょう、お姉様。私たちに夢が待っているわ」 「自分も勝手に加えないでちょうだい。いいわね、ちょっとだけよ? ちょっとだけだからね」 「わかってるわよ」 「よろしいですか? では、そろそろ出発しましょう!」 次回嘘予告 見知らぬ外の国……そこは未開の地であった!次々と襲いかかってくる化け物を相手に、彼女らは無事生き延びれるのか!?まさかの二話構成!ていうか夢がでてきてない!どうしよ! 後編に続け。 |
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