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『何故解−ナゼトキ−』 作:武士道さむらぃ 「皆さん、この中に犯人がいます」 探偵が静かに言った。 そこにはしばらく経っているのだろうか、冷たくなったソレが倒れていた。 辺りには花瓶の破片が飛び散り、そして紅い色が床一面を支配している。 「見ればお分かりでしょうが、花瓶が割れています。考えるまでもなく、もちろん犯人の手によるものでしょう」 探偵は淡々と事実を述べていく。 「何がいいたいのよ?」 探偵の言いたいことに合点が行かず、いらついた打殻(ダカラ)が口を挟む。 「その探偵さんは『何故花瓶が割れたのか』、を重要視してるってことだろ。なぁ探偵さん?」 探偵に代わって堂仕手(ドウシテ)が答える。 「正解です。犯人は何故花瓶を割ったのか、これが核心であるというわけ」 探偵は自信たっぷりに言うが、それが再び打殻をいらだたせた。 「さっきから何が言いたいのよ!」 右手を強く握りしめ、いまにも殴りかかりそうな様子である。 「おいおい、打殻。なんでそんなにムキになってんだよ?」 堂仕手は打殻を笑った。 しかしその笑いには疑いといったような冷たいものが含まれている。 「わ、わたしじゃないわよ! あんたこそ頭どうかしてやっちゃったんじゃないの?」 打殻は動揺したのか目を右に左に泳がせた。 額からは汗も流れている。 「ふふふ、二人とも怪しーい」 椅子にちょこんと座っていた奏音(ソウネ)が立ち上がった。 指で四角い枠を作り二人の方に向ける。 「ふふ、探偵さん。アナタは全てが分かっているのでいらして?」 奏音は再び席に着き、カップに紅茶を注いだ。 「ええ。もちろん」 ……カチャン 「あら失礼」 奏音はこぼした紅茶を乾いた布きれで拭き取った。 「奏音、今動揺したんでしょ!」 打殻は待ってましたとばかりに食らいついた。 「何のことでしょう?」 奏音は強く言い放った。 顔は笑っているが、その凄みは言及を受け付けない。 「……ふん」 打殻は不満げに壁を叩いた。 「さっきからのこの不毛なやり取りはなんなんですか? 探偵さん、僕は暇人じゃないんです。さっさと解放してください」 いよいよ堪えられなくなった阿野佐(アノサ)は読んでいた本をバタンという大きな音を立てながら閉じ、探偵をにらみつけた。 「犯人だからさっさと退散したいです、ってか?」 堂仕手は鼻で笑ってみせた。 阿野佐はその言葉を無視する。 「もう、早く言いなさいよ!」 「ああ、さっさと聞かせてくれ」 「私も気になりますわ」 「時間が惜しい」 4人は探偵をじっとみつめた。 「分かりました。では、解決編とまいりましょう」 探偵はにこやかにお辞儀をした。 |
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