『十神十色 生死編U ―生の神―』
作:璃歌音


*5

「あ」
「? どうしたんだ?」
「うっかりキミを生き返らせてしまった」
「は!?」
「ちょっと手違いで……」
「なんだそれ!?」
「まぁ、いいんじゃないかな。これくらい。『生の神』も戻ったことだし」
「……まぁ、ありがたいけど。いいのか? オマエが叱られたりしないのか?」
 「死の神」は、可笑しそうに吹き出した。
「叱られるって……。そんな可愛らしいもので済めばいいんだけどね」
「え……」
「なに? もう一回死にたい? おんなじ方法で?」
「あ……それは勘弁」
「じゃあ、偉大なる『死の神』様の慈悲を、ありがたく受けておきたまえ」
「……」
 「死の神」は、ゆっくりと歩き出す。
「あっ……なぁ!」
 思わず声を掛けてしまったが、ちゃんと「死の神」は振り向いてくれた。
「オマエ……『生の神』のこと…………」
「…………うーん……真相は、また会ったときに話してあげるってことで、どうかな?」
「……じゃあ、だいぶ先のことだな」
「……うん、それがいい」
 「死の神」は、にっこりと微笑む。とても「死」をつかさどる神の微笑みとは思えない微笑みだ。
 そのまま歩き出した「死の神」は、またゆっくりと歩き出し、やわらかな光に包まれて消えていった――。
 「神」……。不思議な存在がいたものだ。
 まあ、もうそんなものと関わることもないのだろう。
 少し寂しい気持ちで振り返ると、永次が悲しい目で微笑んだ。



The End.



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