『八猫伝』そのさん
作:璃歌音



 デス族についてのお話をしましょう。
 前にも言ったように、このリキャット島には大昔に絶滅してしまった部族がいます。
 その部族というのは、デス族という名前で元々他の部族に好まれてはおらず、デス族の猫たちも他の部族とあまり交流をしませんでした。
 そのデス族が、原因は分からないのですが絶滅してしまったのです。どうして原因が分からないのかというと、デス族とはどの部族も交流を避けていたので、気付いたら一人もいなくなっていた、という状態だったというわけなのです。
 さて、それでは話をタセンの広場に戻しましょう。

「やっぱり、最後のキャムライはデス族なんじゃないか?」
 誰かが言うと、他のみんなも口々に騒ぎだしました。
「静かに!」ラストが声を張り上げます。
「とにかく、七人のキャムライに頑張ってもらうほかありません。早速今日から任務に就いてもらうので、みんなは七人を出来るだけサポートするように! 以上!」ラストが話しだすと、今まで騒がしかった広場がぴたりと静かになりました。彼女は全部族の猫たちにとても信頼されています。
「いない猫の話をしても仕方ありません。八人目が選ばれないのであれば、七人で頑張ってもらうしかないのです。ネプチューン、ウラナス、サターン、マーズ、ヴィーナス、マーキュリー、そしてジュピター。あなたたちにリキャット島の未来は託されました。まずは、ここ最近リキャット島の各地で起きている〈おかしなこと〉の原因を調べてください」
 七人のキャムライは声を揃えて応えます。
「はい!!」


「ねぇねぇ、ジュピター姉ちゃ~~ん! 〈おかしなこと〉の原因を調べるったって、何すりゃいいんだよぉぉ!!」ウラナスが早速、騒ぎはじめました。
 それでもジュピターとヴィーナス、それにマーキュリーはなにやらぶつぶつと相談しているだけです。いつの間にか、ジュピターがリーダーのような存在になっていました。ヴィーナスは七人の中ではずば抜けて賢いので、マーキュリーと一緒にジュピターと話し合っているのです。
「あぁ! もう! やっぱり〈おかしなこと〉が起きた場所に行ってみるしかないわよ!!」ヴィーナスがヒステリーを起こし始めました。でもすぐに冷静になって言いました。
「今起きている〈おかしなこと〉について、何の手がかりもないんだから、見に行ってみるしかないわ。『百聞は一見にしかず』よ!」
「そうね、やっぱりそうかしらね。マーキュリーもそういうことで良い?」ジュピターが訊きます。
「はい、もちろんです」こちらはマーキュリーです。
「じゃあ、みんな聞いて!」ジュピターが言うと、あちらこちらで思い思いの方法でヒマをつぶしていたキャムライたちが振り向きます。
「お? なんか作戦が決まったか?」サターンです。
「まあ、作戦ってほどではないんですけど……。とにかく〈おかしなこと〉が起きた場所に行ってみることにします」マーキュリーが答えると、
「ええええ? なんかめんどくさくない? 家でゆっくりお茶でもしながら話し合いするとかじゃだめなの?」ネプチューンが文句を言いました。
「そういうわけにはいかないけど、確かにわざわざ七人全員で行くこともないわね。それじゃあ、二手に分かれて別行動をしましょう」ジュピターがチームわけを始めました。
 ジュピターと一緒に〈おかしなこと〉が起きた場所を調べに行くのはウラナス、ヴィーナス、マーキュリーの三人。
 残りの三人は、ツサばあさんの所にもっと話を聞きに行くことにしました。


「やぁ、ツサばあさん。ごぶさたね♪」マーズが最初にツサばあさんに話しかけました。
「ん? マーズはツサばあさんと知り合いなのか?」サターンが聞くと、
「うん、今月の闘いの運勢はどう? とか、今年の闘いの運勢はどう? とかよく聞きにくるの」
「結局、闘いのこと聞いてるだけじゃねぇか……」
「まぁね♪ ところでツサばあさん。最近起きてる〈おかしなこと〉について何か知ってることはない?」マーズが聞きます。
「…………〈おかしなこと〉? 美味しいお菓子のことかい?」ツサばあさんはふざけてとぼけています。
「もう! ふざけてる場合じゃないんだから!」
「おお、おお。わかっておる。落ち着け。落ち着け。〈おかしなこと〉についてじゃったな? 〈おかしなこと〉はな、《ジアス》が引き起こしとるんじゃ」ツサばあさんは静かに話しています。
「《ジアス》??」ここに来てから初めてネプチューンが口を開きました。彼女はお年寄りが苦手なので離れたところから聞いていたのですが、今はそんなことも忘れて思わず聞き返してしまいました。
「そう、《ジアス》じゃ」



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