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『八猫伝』はじまりのはなし
作:璃歌音 暗い部屋の真ん中にとてつもなく長い年月を生きていそうな三毛猫が座っています。御歳は三百歳とも五百歳とも言われているツラス族の占い師、ツサばあさんでした。 ツサばあさんは着ている長い長いローブからいつも持ち歩いている水晶玉を取り出し、目の前の小さなテーブルに置きました。なにやらブツブツとつぶやきながら水晶玉の上に両前足をかざしています。 「八匹の戦士を選び出せ。彼らは必ずや我らがリキャット島を救ってくれるだろう」年の割によく通る声でツサばあさんが言うと、部屋の暗がりから七匹の猫が現れました。リキャット島に住む七部族の族長達です。 「その八匹はどうやって選び出せばいいのだ?ツサばあさんよ」ツサばあさんと同じ三毛猫のおばさん猫が言いました。ツラス族の族長、ラストです。おばさんと言われると怒るのでみんなは「ラスト姉さん」と呼んでいます。 「今日の真夜中、この家の前で天を仰ぐのだ。さすれば、《エイトキャムライ》を選ぶための助けが手に入るであろう」ツサばあさんが言うと、 「あと二時間だな」ドサン族の長、トラ猫のドドスタンが壁にかけてある時計を見てつぶやきました。 「ありがとう。ツサばあさん。必ず《エイトキャムライ》を見つけてこの島を救うよ」カイング族を統べる、翼が生えた白猫ララが言ったのをきっかけに七匹の長は家を出ていきました。 「ん? なんか空が光ってない?」シーキ族族長、黒とグレーの縞模様の猫アクアが言いましたが、そんなことは他の六人もとっくに気が付いていました。 突如として夜の暗闇に現れた光は八つに分かれ、地に降りてきました。 「珠だ……」言ったのはウォート族の長、茶色の体毛を持つ猫ルルトです。 空からやってきたのは、猫の手にちょうど収まるくらいの大きさの透明な八つの珠でした。それぞれの珠の中には文字が一文字ずつ浮かんでいます。 「 「リキャット島を絶対守り抜いて見せようじゃないの」今までずっと黙っていた、長青い体毛に金と銀の瞳を持つゴールド族の猫ビューテが言うと共に七匹の猫は空を見上げました。 彼らの瞳には等しく、熱く真っ赤な炎がごうごうと燃え盛っていました。 |
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